統一システムを作ったときの思い出


僕が民間放送局に在籍していたときにデジタル化の波が押し寄せてきて、デジタル放送のシステムの構築を担当した(もちろん大勢で!)のですが、その時に「系列地方局の基幹システム標準化(統一編成営放システム)」というのを行ったのですよ。僕が在籍していた局では2004年3月頭に切替が行われました。系列第一号だったと記憶しています。

今頃になって、何故、そんな昔の思い出を書くのかというと、デジタル庁創設と地方自治体のシステム統一の話が出てきたからですね。5年後に運用開始とか言ってたような気がしますが。

正直なところ「大丈夫なのかな?」と思うわけですよ。統一システムというものを作ってきた人間から見ると。

僕が情報システム担当になって統一システムに関わり始めたのは2001年春。実はそれ以前から「勉強会」と称して準備を進めてきたそうなのです。僕が関わるようになってから活動が具体化して統一システム構築に向けて動き出したんですよね。

ちなみに規模としては地方自治体のシステム統一なんかに比べるとちっぽけなものでして、系列28局中キー局と準キー局、クロスネット局を除く23局で導入されたものになります。当時はオンプレで構築されましたが、2013年にはクラウド化されたそうです。

さて、その程度の規模の統一システムを作るのにも実に3年もの期間が掛かっているわけです。3年間、何をやっていたのかと言うと…

  • 各社の業務フローを洗い出して統一業務フローの作成
  • 各社バラバラの用語を統一
  • どこまで標準化するのかの議論

といった感じでしょうか。もちろん、詳細設計はシステム開発会社が行うわけですが、それで良いのかどうかの議論もしたりしました。開発する側の考えは必ずしも現場の考えとは一致しないですから。

導入までの3年間、全局の情シス担当者が集まる会議が毎週一泊二日であり、多い時にはそれが1週間に2回あったりもしました。一日目の会議は深夜に及ぶこともしばしばなので弁当が用意されていましたね。自社に出社するよりも系列他社に出社する方が多いという事もたびたび。

もちろん、現場の意見を無視して情シス担当者だけの意見で議論しても意味がありませんので、自社に出社したときは社内各部署への説明資料の作成をしたり会議を行ったりです。あくまでも現場ファーストで進めていくわけです。とは言え、統一システムですから現場のわがままを通すわけにはいきませんので、当然、現場の意見をどうやったら統一システムに載せられるのかを考えて、資料を作ったりもするわけです。そんな毎日。

そうやって議論を重ねて2004年3月に運用を開始したのですが、その段階では機能を全て実装されたものではありませんでした。最終的にフル機能になったのは2006年春だったかと記憶しています。

それくらい大変なものなのですよ。民間企業でも。

それが地方自治体全てでしょ?本当に5年で出来るんですか?地方自治体の職員(特に情シス担当者)は覚悟が出来ているのでしょうか?

それとも、自分達の意見は欠片も入らない国から押し付けられたものを受け入れますか?それ、失敗プロジェクトにありがちな流れですよ?

どういう人が先頭に立って、どういう人達で作っていくのか判りませんが、やり方を間違うと壮大な失敗プロジェクトになりかねないな〜と心配しています。一国民として。なんせ、予算規模が全然違いますから下手したら数千億円とか数兆円とかをドブに捨てることになりかねませんしね。

何らかの統一システムを作った経験のある人達をトップグループに据えた方が良いんじゃないかな〜と思ったりしています。

明確に判っていることは、先に挙げた三点(業務フロー統一、用語統一、範囲)を早急に行う必要があるって事ですね。コレをやらないと確実に失敗するでしょうね。

皆さん、頑張ってください。草葉の陰から応援しております。

参考までに、数年前から「統一システムを作った方が良いな」と思っている業界があります。それは医療業界ですね。ぶっちゃけシステム化が非常に遅れている業界だと思います。患者ファーストで作られていないので、患者の立場から見ると「非常に不便」なんですよ。エンドユーザーは医者でも看護師でもなく、患者だって事を忘れないで欲しいですよね。うん。


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