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成功した東京都・失敗した厚生労働省(主観です)

厚生労働省公式アプリとしてリリースされている「新型コロナウイルス接触確認アプリ」に関して多数の不具合や疑念が湧いていて、物議を醸し出しています。この件についてザックリと主観を述べてみたいと思います。

まず、厚生労働省の「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application」のページを見ると判るのですが、このアプリは「試行版」であると記載されています。実際、Android版は「新型コロナウイルス接触確認アプリ(日本厚生労働省公式)-プレビュー版」という名称になっています。ところがiOS版は「新型コロナウイルス接触確認アプリ」となっていて、プレビュー版である事を隠しています。これは、Appleの「App Store Reviewガイドライン」の2.2に記載の通り「デモ版、ベータ版、トライアル版のAppをApp Storeで公開しないでください。」とされています。実際、プレビュー版は審査対象になりません。なので、プレビュー版である事を隠して(Appleを騙して)審査を通したという事になります。これは由々しき問題です。

次に、「Exposure Notification」を許可しないと二度と起動することが出来ない他、許可に変更することすら出来ないと言う根本的なバグの報告もされています。原因としては基本機能の部分に於いて、最低限の動作確認すらしていないことを物語っています。また、エラー時の文言がおかしいとか本当に基本的な部分に問題が残存したまま公開されています。しかも、バージョン番号は1.0.0を名乗っています。私自身も以前はスマートフォン用アプリの開発をしていたので良くわかるのですが、最低限の動作確認すらしていないもののバージョン番号を1.x.xを名乗らせることはありません。通常は0.x.xを名乗ります。これも、Appleを騙す手段の一つではないかと疑いたくなります。

そもそも、接触確認アプリについてはCode for Japanという団体が先行して開発していました。政府もCode for Japanへの発注する心積もりだったと伺っています。ところが、主体が厚生労働省に変わった途端に「大企業でないと信用できない」みたいな流れからパーソルプロセス&テクノロジーへ発注することになったようです。この段階で、ゼロベースからのスタートになったと疑われても仕方のない状況になっています。しかも、リリースは2020年6月19日というのが決まっていたとの情報もあります。納期に追われて基本的なテストすらする余裕のないまま進んできたことが読み取れます。

国民をベータテスターに使おうという盛大な計画を立てたのは何処なのか、基本的なテストすら出来ないままリリースに至ったのは何処に原因があるのか、充分な検証が必要かと思います。なんせ、税金を投入しているわけですからね。ここは絶対に避けてはいけない部分だと思います。もっと言えば、何故、Code for Japanからパーソルプロセス&テクノロジーに変更になったのかも検証が必要でしょう。

さて、Code for Japanと言えば東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」を受注し作成、オープンソースとして公開したことにより多くのエンジニアからの修正依頼を受け短期間でブラッシュアップしていき、尚且つ、多くの道府県に類似のサイトが立ち上がることになったのは記憶に新しいところです。そんな実績もあって、早期から「新型コロナウイルス接触確認アプリ」の開発も進めていたと伺っています。そう言った意味では東京都は成功したと言っても良いでしょう。もちろん、Code for Japanに関わるエンジニアがすぐれているというのもありますが、東京都の副知事が元ヤフーの宮坂学氏である事も重要なポイントでしょう。彼はヤフーの「爆速経営」を実行してきた方でありますから。

それに対して、厚生労働省は「大企業」にこだわり、開発が先行していたCode for Japanを捨てて他社に発注し、事実上のゼロベースからのスタートになってしまったのは失敗であったと言わざるを得ません。あと、バグレポートのルートが複数存在しちゃっていることも混乱に拍車をかけるのではないかと危惧しています。本来であればGitHubで公開している以上、GitHubのIssueで完結すべきなのがメールで受け付ける仕組みになってるのは微妙なところです。誰がバグレポートを管理し整理し対応していくのかが気になるところです。

あと、リリース時間も普通のアプリ同様、日替わりと同時にすれば良かったのに15時頃という混乱を大きくしそうなタイミングであったことも「微妙だな」と感じるところです。AppStoreではリリース直後には検索で出てこないのが普通ですので、日替わりと同時であれば普通の人達がインストールしようとするタイミングでは検索で出て来た可能性があります。なんせ、大混乱の末に出所不明のリンクがSNSで大量に出る事態を招きましたからね。これは偽アプリで個人情報を抜きたい悪意の第三者にとっては格好のターゲットになります。まあ、悪意の第三者もあれほど酷いものは予想できなかったのでしょう。そういう事態にならなかったのは不幸中の幸いではありますが。

とは言え、リリースされてしまったものを巻き戻すことは出来ませんので、我々は粛々とバグ潰しに協力するしかないのですがね。多数の残念を思い出に、当面はアプリを使い続けていかなくてはなりません。

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