「個人のICタグに反応、公共施設で情報案内 富士通開発」(asahi.com)
これを見て… 技術屋の愚かさが顕著に出た例なのかなぁと思った。
技術屋って自分たちの持っている技術を誇示したがる傾向にある。 自分も技術屋だから、そういった面が少なからずあり社内各部へご迷惑をかける事もある。
今の技術を応用して行けば「こんな便利な事も出来るんだ」とか、これは技術的に意味が無いので「ヤメちまえ」とか。 実際に使う側の意見を聞いたり、セキュリティも含めた総合的な判断無しに進めがちである。
今回、デジタル放送に関していくつかの仕事をしてきているが「キー局の技術屋が実際に機能を使うローカル局に対して問い合わせをする事無く物事を決めてしまった部分が発生」し大変な苦労をする事になって「やはり技術屋はダメだ」と思っている所に、このニュースである。
このニュースの例で言えば、何で公共ディスプレイに表示をせねばならないのかが判らないのである。 公共ディスプレイというのは広範囲から見る事ができる、公共情報提供用のディスプレイである。 ということは、個人のICカードを提示して表示される内容が周囲にいる人たちに広く知れ渡ってしまう事を意味する。
これって、どう見たってヤバいでしょ。
記事に出ている写真は空港をモデルにした画面のようであるが、そのカードをかざした人がどこのゲートへ行き、どの便に乗るのかが広く知れ渡る事になる。 ここで得た情報を絶対に悪用できないということを誰が保証するのであろうか? このような仕組みが随所に導入されたときに一体どのような事になるのであろうか?
ICカードを巡ってはいろんな話があるが、どれもこれも技術屋さんの壮大な夢が語られてるだけで、実現する為には多くの問題をクリアせねばならない事は自明であった。 今回のニュースは夢から一歩踏み出したものであり、もう少し慎重に検討されてから自慢されても良かったのではないかと思うようなネタであった。
各メーカーの技術屋さんは、もう少し慎重に物事を進めるべきではないでしょうか?